第9章 反則行為なら処理はスピーディに
第9章 反則行為に関する処理手続の特例
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第8章 ルールを守らないとペナルティ
第1節 この章全体にいえること
第一節 通則
この章で使われる言葉
- 第125条
- 道路交通法違反の中でも、別表第二に記載されているものは《反則行為》といい、反則金を支払うことで本格的な刑罰から免れることが認められています。
- 2
- 反則行為を犯した人は、《反則者》といわれることになりますが、次に該当する人はそれだけでは済まされません。
- 一
- 無免許運転で反則行為をした人。
- 二
- 飲酒運転で反則行為をした人。
- 三
- 反則行為をして交通事故を起こした人。
- 3
- この章の規定に従って支払われるお金を《反則金》といいます。
反則金の上限額はその種類ごとに別表第二に規定されています。
支払われた販促金は国の収入となります。
原文
298
(通則)
- 第百二十五条
- この章において「反則行為」とは、前章の罪に当たる行為のうち別表第二の上欄に掲げるものであつて、車両等(重被牽引車以外の軽車両を除く。次項において同じ。)の運転者がしたものをいい、その種別は、政令で定める。
- 2
- この章において「反則者」とは、反則行為をした者であつて、次の各号のいずれかに該当する者以外のものをいう。
- 一
- 当該反則行為に係る車両等に関し法令の規定による運転の免許を受けていない者(法令の規定により当該免許の効力が停止されている者を含み、第百七条の二の規定により国際運転免許証等で当該車両等を運転することができることとされている者を除く。)又は第八十五条第五項から第十項までの規定により当該反則行為に係る自動車を運転することができないこととされている者
- 二
- 当該反則行為をした場合において、酒に酔つた状態、第百十七条の二第三号に規定する状態又は身体に第百十七条の二の二第三号の政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態で車両等を運転していた者
- 三
- 当該反則行為をし、よつて交通事故を起こした者
- 3
- この章において「反則金」とは、反則者がこの章の規定の適用を受けようとする場合に国に納付すべき金銭をいい、その額は、別表第二に定める金額の範囲内において、反則行為の種別に応じ政令で定める。
第2節 青切符が切られると
第二節 告知及び通告
その場で青切符が切られて
- 第126条
- 反則行為として警察に停められると、その場で次の処理と書面での通知が行われます。
- どんな事態が起こっていたのかの確認。
- その事態がどのような反則行為に該当するかの確認。
- 反則行為の内容や、正式な対応として警察への出頭の日時や場所について明示された書面の発行。
警察への出頭が必要ない場合もあります。
ただし次に該当する場合は販促行為として処理ができないため、違法行為としての処理となります。
- 一
- 住所・氏名がはっきりしない人
- 二
- 逃亡しようとしている人
- 2
- “青切符”には、反則金を支払うことで交通違反の行政処分を終えるために必要な手続きが記載されています。
- 3
- 青切符が切られると、担当する警察官から現場を管轄する都道府県の警察本部長に報告されます。
警察官が担当エリア外で青切符を切った場合は、所属する都道府県警察の警察本部長に報告されることになっています。
- 4
- 都道府県の警察職員である交通巡視員が駐車違反の取締を行った場合も、青切符によって行政処分が行われます。
交通巡視員によって青切符が切られた場合も現場の警察本部長に報告されることになります。
反則行為を通知するための書面のことを通称で“青切符”といいます。
反則行為では済まされない交通違反に対する通知をするための書面のことを通称で“赤キップ”といいます。
原文
299
(告知)
- 第百二十六条
- 警察官は、反則者があると認めるときは、次に掲げる場合を除き、その者に対し、速やかに、反則行為となるべき事実の要旨及び当該反則行為が属する反則行為の種別並びにその者が次条第一項前段の規定による通告を受けるための出頭の期日及び場所を書面で告知するものとする。ただし、出頭の期日及び場所の告知は、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
- 一
- その者の居所又は氏名が明らかでないとき。
- 二
- その者が逃亡するおそれがあるとき。
- 2
- 前項の書面には、この章に定める手続を理解させるため必要な事項を記載するものとする。
- 3
- 警察官は、第一項の規定による告知をしたときは、当該告知に係る反則行為が行われた地を管轄する都道府県警察の警察本部長に速やかにその旨を報告しなければならない。ただし、警察法第六十条の二又は第六十六条第二項の規定に基づいて、当該警察官の所属する都道府県警察の管轄区域以外の区域において反則行為をしたと認めた者に対し告知をしたときは、当該警察官の所属する都道府県警察の警察本部長に報告しなければならない。
- 4
- 第百十四条の四第一項に規定する交通巡視員は、第百十九条の二又は第百十九条の三第一項第一号から第四号まで若しくは第二項の罪に当たる行為をした反則者があると認めるときは、第一項の例により告知するものとし、当該告知をしたときは、前項の例により報告しなければならない。
反則金の納付通知書が届きます
- 第127条
- 青切符を切られて、反則行為をしたことについて警察で確認が終わると、反則金の請求書となる《納付通知書》が送られてきます。
反則金を仮納付していたり、警察に出頭していた場合は納付通知書が送られてこないこともあります。
納付通知書では、反則金と通知書の郵送にかかった費用の合計金額が請求されることとなります。
- 2
- 青切符を切られても、反則行為をしていないことが警察で確認された場合は、反則行為が認められないことが書面で通知されます。
青切符を切られても、記載された反則行為と実際に犯した反則行為が異なることが警察で確認された場合は、確認された反則行為について書面で通知され、改めて確認された反則行為に対する反則金の納付通知書が送られてくることになります。
- 3
- 納付通知書は仮納付の期間が経過した後の忘れかけそうになる頃までに送られてきます。
原文
300
(通告)
- 第百二十七条
- 警察本部長は、前条第三項又は第四項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。この場合においては、その者が当該告知に係る出頭の期日及び場所に出頭した場合並びにその者が第百二十九条第一項の規定による仮納付をしている場合を除き、当該通告書の送付に要する費用の納付をあわせて通告するものとする。
- 2
- 警察本部長は、前条第三項又は第四項の報告を受けた場合において、当該報告に係る告知を受けた者が当該告知に係る種別に属する反則行為をした反則者でないと認めるときは、その者に対し、すみやかに理由を明示してその旨を書面で通知するものとする。この場合において、その者が当該告知に係る種別以外の種別に属する反則行為をした反則者であると認めるときは、その者に対し、理由を明示して当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付を書面で通告するものとする。
- 3
- 第一項の規定による通告は、第百二十九条第一項に規定する期間を経過した日以後において、すみやかに行なうものとする。
第3節 反則金の納め方
第三節 反則金の納付及び仮納付
反則金を納めるつもりなら
- 第128条
- 反則金を納めるつもりなら、納付通知書に記載の納付期限までに納付しましょう。
納付期限は通知書が発行された日から11日目までとなっていますが、この間にやむを得ない事情で支払いができなくなった場合はその事情が解消された日から11日目までに反則金を納付しましょう。
- 2
- 納付期限内に反則金を納めると、この件に関して裁判にかけられることも、それ以上の処罰を受けることもなくなります。
原文
301
(反則金の納付)
- 第百二十八条
- 前条第一項又は第二項後段の規定による通告に係る反則金(同条第一項後段の規定による通告を受けた者にあつては、反則金及び通告書の送付に要する費用。以下この条において同じ。)の納付は、当該通告を受けた日の翌日から起算して十日以内(政令で定めるやむを得ない理由のため当該期間内に反則金を納付することができなかつた者にあつては、当該事情がやんだ日の翌日から起算して十日以内)に、政令で定めるところにより、国に対してしなければならない。
- 2
- 前項の規定により反則金を納付した者は、当該通告の理由となつた行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。
納付通知書が届く前に仮納付
- 第129条
- 青切符を切られてから8日目までであれば、納付通知書が届く前に反則金を納めることができます。
この場合は仮納付ということにますます。
- 2
- 仮納付をした場合、反則行為に関する通知は書面が届くことなく、公示のみが行われます。
- 3
- 仮納付した後で納付通知書が届いたら、仮納付によって反則金が納付されたこととして扱われます。
- 4
- 仮納付をした人の反則行為が警察で確認できなかった場合、仮納付されたお金は速やかにその人に返還されることになっています。
原文
302
(仮納付)
- 第百二十九条
- 第百二十六条第一項又は第四項の規定による告知を受けた者は、当該告知を受けた日の翌日から起算して七日以内に、政令で定めるところにより、当該告知された反則行為の種別に係る反則金に相当する金額を仮に納付することができる。ただし、第百二十七条第二項前段の規定による通知を受けた後は、この限りでない。
- 2
- 第百二十七条第一項前段の規定による通告は、前項の規定による仮納付をした者については、政令で定めるところにより、公示して行うことができる。
- 3
- 第一項の規定による仮納付をした者について当該告知に係る第百二十七条第一項前段の規定による通告があつたときは、当該仮納付をした者は、前条第一項の規定により当該通告に係る反則金を納付した者とみなし、当該反則金に相当する金額の仮納付は、同項の規定による反則金の納付とみなす。
- 4
- 警察本部長は、第一項の規定による仮納付をした者に対し、第百二十七条第二項前段の規定による通知をしたときは、当該仮納付に係る金額を速やかにその者に返還しなければならない。
最終日に金融機関がやってなかったら
- 第129条の2
- 仮納付の期限の最終日が日曜日や祝日など金融機関の休業日の場合、次の金融機関の営業日まで期限が延長されます。
原文
303
(期間の特例)
- 第百二十九条の二
- 第百二十八条第一項及び前条第一項に規定する期間の末日が日曜日その他政令で定める日に当たるときは、これらの日の翌日を当該期間の末日とみなす。
第4節 反則金で終わらないケース
第四節 反則者に係る刑事事件等
反則金で終わらせてもらえないケース
- 第130条
- 青切符が切られても、納付通知書が届き、その期限が経過するまでは裁判所から呼び出しを受けることはありません。
ただし、次の人には呼び出しが届くことになります。
- 一
- 住所や氏名がわからなかったり、逃亡しようとしているためにちゃんと青切符が切れなかった人。
- 二
- 青切符の受け取りを拒否したり、納付通知書の送り先がはっきりしないために書類を届けることができなかった人。
原文
304
(反則者に係る刑事事件)
- 第百三十条
- 反則者は、当該反則行為についてその者が第百二十七条第一項又は第二項後段の規定により当該反則行為が属する種別に係る反則金の納付の通告を受け、かつ、第百二十八条第一項に規定する期間が経過した後でなければ、当該反則行為に係る事件について、公訴を提起されず、又は家庭裁判所の審判に付されない。ただし、次の各号に掲げる場合においては、この限りでない。
- 一
- 第百二十六条第一項各号のいずれかに掲げる場合に該当するため、同項又は同条第四項の規定による告知をしなかつたとき。
- 二
- その者が書面の受領を拒んだため、又はその者の居所が明らかでないため、第百二十六条第一項若しくは第四項の規定による告知又は第百二十七条第一項若しくは第二項後段の規定による通告をすることができなかつたとき。
家庭裁判所で取り扱うことになっても
- 第130条の2
- 納付通知書の期限内に反則金が納付されずに、家庭裁判所で扱われる案件になったとしても、家裁の判断で刑事事件として扱わずに反則金を支払えば終了だと指示されることがあります。
この場合は、納付通知書に記載されている金額通りになるとは限らず、家裁が別表第二の金額を基に独自に判断した金額となります。
- 2
- 家庭裁判所からの反則金の支払い指示は、支払いの期限と金額が記載された書面で行われます。
- 3
- やむを得ない事情で期限内に支払いができない場合は、納付通知書での支払い期限の延長と同じように、その事情が解消された日から11日目までに反則金を納付しましょう。
この反則金を支払えば、それ以上の処罰を受けることはなくなります。
原文
305
(反則者に係る保護事件)
- 第百三十条の二
- 家庭裁判所は、前条本文に規定する通告があつた事件について審判を開始した場合において、相当と認めるときは、期限を定めて反則金の納付を指示することができる。この場合において、その反則金の額は、第百二十五条第三項の規定にかかわらず、別表第二に定める金額の範囲内において家庭裁判所が定める額とする。
- 2
- 前項の規定による指示の告知は、書面で行うものとし、この書面には、同項の規定によつて定めた期限及び反則金の額を記載するものとする。
- 3
- 第百二十八条の規定は、第一項の規定による指示に係る反則金の納付について準用する。この場合において、同条第一項中「当該通告を受けた日の翌日から起算して十日以内」とあるのは、「第百三十条の二第一項の規定により定められた期限まで」と読み替えるものとする。
第5節 その他諸々
第五節 雑則
北海道は広いので反則行為の規定でも各方面の警察本部長に
- 第131条
- 反則行為に関して北海道警の警察本部長の権限に関する手続きは、北海道の函館・旭川・釧路・北見の4方面の警察本部長の権限により手続きされます。
原文
306
(方面本部長への権限の委任)
- 第百三十一条
- この章の規定により道警察本部長の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面本部長に行なわせることができる。
納付通知書について詳しくは政令に
- 第132条
- ここに書かれていること以外に、納付通知書の内容や手続きについて詳しいことは政令に規定されています。
原文
307
(政令への委任)
- 第百三十二条
- この章に定めるもののほか、第百二十六条第一項又は第百二十七条第一項若しくは第二項に規定する書面の記載事項その他この章の規定の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
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第8章 ルールを守らないとペナルティ
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